文化文政風俗絵巻in妻籠宿
11月23日に、妻籠宿では「文化文政風俗絵巻行列」と言うのが行われている。
娘が何を思ったか友達と参加し始めてから、もぅかなりになる。
私は「仮装行列かぁ?お馬鹿なことよ……」と友達のおかぁさんと一緒に笑っていたのだ。ところがひょんな事からそれを見に行くことになった。勿論私は野次馬、Maxは写真、彼女たちは参加者である。
今はやりの参加型イベントのはしりである。徳川時代の最も平和な時代、街道を行き交う人々の有り様を絵巻物風に見せようということだそうだ。貴金属、眼鏡などその時代にはなかったものは禁止、忍者装束は駄目といろいろ決まりはあるらしい。
そこここで顔見知りが「久しぶりぃ!」なんて言い合っている。毎年この日に会うことが彼等のお約束?!のようだ。参加者も各地から集まっている。何とはるばる下関から家族で参加という人もいる。いい歳をしたおじさん、おばさん、おじいさんにおばぁさん、青年もいれば妙齢の乙女もいる。何と小さな子供を連れた若夫婦もいるのだから驚いた。
行列出発の花火が響く。街道を鳥追い、物売り、若武者、町娘などそれぞれが工夫を凝らした形で行き交う。
メインは馬の背に揺られた「花嫁さん」。長持ちを始め花嫁道具が続いている。花嫁さんは地元のお嬢さん。綺麗だった。
行列の花嫁になると不思議なことにすぐ本当にお嫁入りとなるとか。我が娘達もどうせなら行列の花嫁さんになれないものかなぁ……なんて思う。
話には聞いていたがカメラマンの多いことにもビックリ。参加者が集合場所へと宿を出る、途端に囲まれる。子供は無理矢理ポーズを作らされている。「こっち向いて」「笑って」と声が飛ぶ。モデルは「もう… 時間が……」と半べそ。
ところで、いつも思うことなのだが、カメラおじさんやおばさんはホント迷惑。「行列に入らないでください!」と係員は声をからしているというのに割ってはいる。ひどいのは行列の中でカメラを振り回している輩もいる。よりいいアングルで撮りたいのは分かるが、ここにいるのは貴方だけじゃない。何処に行っても私は怒っている。勿論我がMaxはそんな無礼は致しません。
毎年お世話になっている民宿「藤屋」さんに泊まった。築100年はするという家で、柱、梁は黒光りしており実に立派。作りつけの家具などは長年の使いようで金具の当たったところが凹んだりしている。お上からは紙切れだけで修理や維持に関わる援助はまるでないそうだ。「私らでお終いかも……」とちょっぴり淋しげであった。
夕食は、おばちゃん手作りの素朴な田舎料理である。味はともかくぬくもりがウレシイ。食事の後、寂れていた妻籠を現在の形にするまでの裏話、今の長野県政から町村合併にまつわる話、朗々たる美声の木曽節などで宿のご亭主を囲んで同宿の方々と話がはずんだ。
外は、遠くにポツン…ポツンと頼りない灯りのほか何も見えない闇。ふりそそぐ星明かりの世界に久し振りに立った。
明けて祭の日、外はもう大騒ぎ。昨夜の静けさなど何処かに吹き飛んでいる。
汗ばむような秋の陽の中、同宿の方と一緒にわいわい言いながらの見物。
これは参加する方が絶対楽しいと思った。”踊る阿呆に見る阿呆。同じアホなら踊にゃそんそん……”である。
なかなかに楽しい、面白いことでありました。毎年同じ日に行われているので、一度お出かけになってみては如何……?!
2003年11月