名所訪問

「 晩春と夏の小田代ヶ原 」


かうんたぁ。


小田代ヶ原は、奥日光の中西部に位置し、 標高1430m強の高地にある湿原である。
東側は戦場ヶ原だが、北・西・南はおおむね山に囲まれている。
湿原と言っても、湿原から草原へ移行期にあるため、両者と特徴を持ち、 貴重な景観を作りだすので、 宇都宮に単身赴任している間、しばしば訪れた。
季節により、景観がすごいので、記してみたい。


小田代ヶ原は、春季から秋季に赤沼車庫から低公害バスが運行しているが、 数は少なく、早朝にはない。
小生は日の出前に小田代ヶ原に到着し、カメラの三脚を構えたので、 赤沼車庫からまだ暗い四時〜五時に頭の懐中電灯をつけてあるいた。
当時はデジカメは初期の段階で、小生が使用したのはリバーサルフイルムで、 感度が低いため、三脚が必要であり、写真を写した後の、露出の調整ができなかったので、 同じ画面を露出調整しながら、ワンカットを三枚撮ったのである。
小田代ヶ原の春は遅く、五月過ぎるという時である。
五月三十日に訪れると、小田代ヶ原の草は黒ずんだ状態で、その奥に、 小田代ヶ原を代表するのは、草原の真中に立つ白樺の木・貴婦人である。
原の周囲にある白樺のには、淡い黄緑の葉が付き、地面にも一部、緑の草が生え、 春が訪れていることは確認できた。

6月1日にも訪問すると、朝霧に原は囲まれている。
太陽の光から赤を取り入れた赤紫の霧の中に樹木を見つけたが、 枝に葉が付いているようには見られなかった。
赤紫の幻想的風景に出会えた。

5月末の小田代ヶ原      芽吹の白樺      赤紫の幻想的風景
5月末の小田代ヶ原 芽吹の白樺赤紫の幻想的風景

六月下旬頃から七月の梅雨の時期には、小田代ヶ原に朝霧が発生し、幻想的な風景が撮れるので、カメラマンが多く訪れる。
7月6日早朝に訪問すると、空は青空で、山上に少し雲がかかっているだけなのに、 小田代ヶ原は朝霧に包まれている。
そよ風で、霧が流れ、霧が周りを隠し、太陽の光で風景が目覚ましく、変化を付ける。
また、太陽の光度を上げると、周りの風景も浮かび上がってくる。
霧が太陽が上がるのに比例し、あっという間に、消えてしまう。
短い時間。夢中になって、撮影を続けた。

朝霧の小田代ヶ原      霧の貴婦人      霧の貴婦人
朝霧の小田代ヶ原 霧が流れる貴婦人明るさ増した貴婦人

霧が出る前、夜明けは山の上に、赤黄色に染まる空から始まった。
小田代ヶ原は、まだ、黒い闇の中にある。
太陽の光が強くなると、小田代ヶ原の視界に、霧で覆われた姿が、現れる。
その姿の一部が上の掲げた写真である。
霧のある時間は十五分〜三十分程で、日の出の頃には終ってしまうことが多い。
日が上り、霧のない小田代ヶ原は、緑の草原と、 奥に貴婦人やタケカンバの少し濃い緑の樹木と、日光連山を背景とした、 穏やかな風景に替わってしまう。
ある意味では、どこにもある、平凡な風景である。
草原の中に、オダマキが咲いているのを見つけた。

夜明け時      小田代ヶ原      オダマキの花
夜明け時 霧が消えた小田代ヶ原 オダマキの花


7月31日に、出逢った、小田代ヶ原の霧の風景である。
小田代ヶ原に生える植物は少ないように思えた。
6月〜7月に、ウマノアシガタ、7月〜9月にホザキシモツケの群生、7月〜8月に 日光アザミに出会う位である。
小田代ヶ原は、周回歩道しか歩くことが出来ないので、草原を遠くから眺める形なので、 詳しく観察できなのである。
草の葉に、停まっているアキアカネを見つけた。
近づいても飛び立たない。 羽根が露で濡れ、光っていた。
太陽光で温度が上がると、飛んで行った。 羽根が重いため、飛べずにいたようである。 
寝ている内に、夜露で濡れてしまい、太陽熱で乾かしていたようである。

7月31日の小田代ヶ原      日光アザミ      アキアカネ
7月31日の小田代ヶ原 日光アザミ アキアカネ

8月24日に訪れると、貴婦人の奥の樹木は色が濃くなり、手前の総厳は横に帯状に赤というか、 主というか、色が替わっている。
足元には、ホザキシモツケがピンクの花を付けて、咲いていた。
遠くにあるために、花の群落なのか、他の要因は分からない。
奥日光は下界より、高度が高いため、早朝の温度がかなり低くなっていて、 この時期に秋の気配を漂わせている。
毎朝露が降りるようになっていて、 草に付いている露を写すと、丸いリングが沢山現れ、美しかった。

8月24日の小田代ヶ原      ホザキシモツケ      光のリンク
8月24日の小田代ヶ原 ホザキシモツケ 光のリンク



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