温泉施設でのレジオネラ菌による死亡が相次いでいます。
また、それが原因で、大分の日向温泉や北海道の日帰り温泉が営業停止に追い込まれました。
大分の日向温泉のケースでは、循環式の温泉施設では、塩素殺菌が義務付けられていますが、それを怠ったのが原因だと、報道されています。 開業したばかりで、従業員の知識不足があげられていますが、温泉を利用するものとしてはそら恐ろしい話です。
最近、温泉旅館では 「 こちらはほんものの源泉水ですか? 」 という質問が増えているといいます。
数年前までは、温泉に入れるだけで満足していた人達が、日帰り温泉の増加により、気楽に湯に接するようになり、温泉に関する知識や経験を積みました。 その結果、温泉のお湯が銭湯の湯とあまり変わらないのでは承知しなくなったからです。
カルキ臭くない湯をということで、塩素殺菌装置をとめてしまった訳ですが、他の温泉でもこれに近いことは行われているような気がしてなりません。
流し放しの温泉である那須北温泉や奥鬼怒温泉郷などは、宿泊予約がとりずらい状況が続いているといいます。
7月上旬に、北東北を訪れましたが、(シーズンオフにかかわらず)十和田の蔦温泉や八甲田温泉も若い人達が多かった。 特に谷地温泉では駐車場にも入れない状況でした。 かっての人気温泉地、浅虫温泉はがらがらだったのと、好対照を示していたのには、正直驚きました。
第1次秘湯ブームの火点け役は、首都圏のギャル(おじんギャルと呼ばれた?)でした。 彼女等は、奥飛騨温泉郷など、それまで知られなかった温泉を世に紹介しました。 また、秘湯を守る会も結成されました(約150の温泉宿から構成されています)
秘湯を守る会の旅館に共通するのは、交通が不便で、湯治場の雰囲気があるという点です。
今回の秘湯ブームにより、会員のほとんどの宿が大人気で、客数は以前に比べ大幅な増加になっているそうです。
今回のブームは、秘湯という場所の珍しさだけでなく、湯質に客の関心が高いのが特色だと思います。 そういう意味では、全国の温泉のお湯の劣化は、切実であり、深刻であるといえます。
しかし、秘湯温泉の収容人員は少なく、お湯の質を期待する多くの客需要には、残念ながら、対応することができないと思います。
温泉には、ご存知の通り、源泉の湯を流し放しにする「掛け流し式」と、濾過して何回も使用する「循環式」があります。
理想は「掛け流し式」ですが、源泉の量に制約があるので、「掛け流し式」の宿は、極めて稀です。 また、日帰り温泉のみ営業の温泉では、ほぼ0に近い状態です。
以前より、掛け流し式の温泉旅館のみを天然温泉と呼ぼうという動きがありました。 しかし、源泉100%にするのか、源泉の湯を沸かすのを認めるかなど、意見が纏まらなかったようです。
温泉評価制度は、社団法人日本温泉協会がこの秋から試験導入する制度です。
源泉からの引き湯方式や浴槽の利用形態など管理面を重視し、5段階評価するものです。
学者などで構成する日本天然温泉審査機構で、
@ ゆう出や混合の有無など源泉の状況と成分分析表、 A 引き湯の距離と方法、 B 加熱や冷却、殺菌方法や循環濾過の有無 ・・・などを審査するというものです。
8月19日の日経新聞の記事によりますと、
と伝えています。
( 2002年9月10日 )