テーマ 『 温泉は安全か? 』



中日新聞の日曜版に掲載された恵庭五郎氏「健康常識を考える」の記事について、考えてみたいと思います。

筆者は、最初に、最近ブームになっている日帰り激安バスツアーについて、触れられています。

「 果物食べ放題、仰天の昼食、豪華な公共温泉の露天風呂で、心身ともにリフレッシュ・・・・ など、プラン満載のバスツアーがひしめいている。 乗客は、元気印の女性が大半だ!!
公共温泉は、税金を投入した見事な施設ばかりだが、 例の竹下内閣「ふるさと創生1億円事業」として、各地に乱立したらしい。 そこには、「癒やし」など薬にするほども感じられない。 ただただ、湯量の豊富な「温泉」と称するお湯に浸かって、入浴後は半端ではない仰天の食膳が供される。
ひたすら食べた後は、 土産物センターでのショッピング  ・・・・・
心身を癒す「旅」というより、 疲れる「ツアー」といった方がよい。 それでも、日帰り(または、1泊)バス旅行は、依然として人気を集めている。」  と、 最近の格安バスツアーについて、 氏の見解を述べられています。

続いて、最近登場した温泉について、以下のような警鐘を鳴らします。

「 ”温泉博士”札幌国際大学教授 松田忠徳さんは、

『 豪華さを誇る公共温泉、特に、平成年間にオープンしたものは、ほとんどが温泉であって温泉でなく、塩素入りの循環・ろ過式沸かし風呂だ 』

と、指摘されている。 しかも注意すべき点は、 過去のレジオネラ菌騒動の大半が、こうした地方自治体がお金をかけて造った温泉施設で起きているということだ!
つい最近、宮崎県日向市の第3セクター「日向サンパーク温泉」で、 またもやレジオネラ菌集団感染」が発生した。 感染者数が二百数十人に及び、死者、重症者が相次いだ。 全く驚きだ。 しかもオープンして1ヶ月そこそこでこのありさま。
原因は明白だ。

湯槽の換水(湯の入れ替え)を怠った → 大腸菌の繁殖 → 塩素投入(の不十分)→ 人肌の垢で栄養豊富 →
泉温42℃ →レジオネラ菌の増殖 → 高齢者の呼吸器感染 → 感染者+死者 という図式だろう。」

と、「レジオネラ患者の発生メカニズム」を解説しています。 そして最後に、以下の通り、結論付けられています。

「 昔から 、日本人が温泉に求めてきたものは、「湯治」という”心のゆあみ” だ!! (ゆあみにより)深い安らぎが得られ、体調も整えられて、心身の”疲れ”を限りなく解消してくれる。 こうした湯治の持つ癒し効果は、今や 温泉療法としても注目されている。 それは、宴会型が減り、保養を考えた「いい湯」を楽しむ人が増えたことからも分かる。 そのためには、どうしても「本物の温泉」が必要だといいたい。」

 私も、筆者のご意見に同感です。
湯治は、癒しに大変効果があるということ。そのためには、 良質で 安全な 湯が欠かせないのですが、 残念ながら、「本物の温泉」は全国でみても数が少ないのが、現状です。
せめて、 レジオネラ菌で心配することのない衛生管理を循環式の温泉施設に望みたい と思う今日このごろです。

( 2002年9月18日 )


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かうんたぁ。