レジオネラ菌は、土の中や河川など身近な自然界に生息している。
1976年、米国のフィラデルフィアで、最初の集団感染が認められた。 日本では、90年代になって各地で集団感染が発生。 最近は公共の福祉施設や病院、温泉などの循環式浴槽による感染事例が目立つ。
今年(2002年)7月、宮崎県日向市の第3セクター施設・日向サンパーク温泉ではついに7人の死者と30人以上の感染者を出した。 愛知県では、10月。 東浦町の温泉施設「あいち健康プラザ」で、発見され20日間の営業停止に追い込まれた(幸い、感染者はなかったが・・・)
ここ1〜2年、全国でかなりの数のレジオネラ菌感染者が発生しているので、厚生省から気付けるよう、働きかけと保健所による指導がおこなわれている。
レジオネラ菌の感染力はそれほど強くないが、抵抗力の弱っている場合には感染しやすい 菌は、水滴の飛散や土埃によって、肺や口から身体に入り、風邪に似た症状や肺炎などを誘発する。
菌の発生を防ぐには、掛け流しが1番だが、温泉で掛け流しできるところは残念ながら極めて少ない。
多くの温泉が行っている循環式浴槽の場合の対策は、塩素消毒の実施である。
この場合、塩素による殺菌によりレジオネラ菌が除去されるのと引き替えに雑菌が発生し、生き残ったレジオネラ菌が雑菌を食べて異常増殖したという事例も報告されており、塩素殺菌が絶対という保証はない。
残念ながら、完全な対策は難しいというのが現状のようである。
死者の出た日向の場合、塩素臭さを避けて塩素殺菌装置を停止していたというのだから恐ろしい。 東浦の場合は、濾過装置の故障や源泉タンクと浴槽を繋ぐ配管が汚れていたことなどが主因だったと報道されており、施設管理という面での問題点が指摘できる。
レジオネラ菌対策が徹底されないと、、安心して温泉には行けなくなる。
( 2002年12月23日 )
その後の動き
厚生労働省の指示で保健所が調査指導を行った結果、全国の温泉地で数多くの問題点が見付かった。
その中で、ジャグジーや泡風呂などの飛沫が飛ぶ風呂。 飛沫が鼻から肺に入るといけないので、これらの風呂に入れる湯は循環した湯は使えないというのがある。栃木県で昨年実施された調査で、これに違反している温泉施設はかなりの割合にあがったというが、その後、対策が採られたのは5分の1くらいしかないと、先日の下野新聞では報道していた。
打たせ湯も、源泉の湯を流し放しで使わなければならないそうだが、これも未対策のままになっている所が大部分で、お湯を止めたところはわずかとあるので、更に徹底した行政指導が望まれる。
( 2003年 3月15日 )