テーマ名 『 奥飛騨温泉郷に戸惑いの声が  』

奥飛騨温泉郷がある岐阜県上宝村は、高山市と合併する予定であるが、合併による、思わぬ事態に温泉関係者には戸惑いの声があがっているようだ。


奥飛騨温泉郷では、これまで日帰り温泉客には入湯税は取っていなかった。
ところが、合併相手の高山市などでは取っているので、歩調を合わせることになりそうというのである。

そもそも、入湯税とは、なんだろうか?!
入湯税あるいは、温泉税とは、地方税法701条に規定されている地方公共団体が徴収できる目的税の1つである。 観光誘致や温泉施設の充実に使うのを目的とした税金であり、温泉施設管理者に徴収義務がある。
また、徴収税率は、市町村の条例で具体的に決めなければならないが、地方税法による標準税率は1日150円である。
私が調べたところでは、白浜温泉のある和歌山県白浜町の入湯税の年間徴収額は約2億円にものぼっている。 どのように、財政上使用されているか分からないが、大きな温泉地を抱える市町村にとっては大きな税源であるには違いない。
入湯税が設けられた当時は、今日のように日帰り利用の客は多くなく、宿泊者が大部分だったので、税額は宿泊料金を念頭に決めたのである。 1泊1万円〜2万円の宿泊費の内、入湯税の300円は1.5%〜3%で、それほどの負担にならないとして、決められた筈だった。 しかし、法律では宿泊者に限定するとはうたっていなかった。
また、徴収を免除したのは、修学旅行の生徒と、公衆浴場や共同浴場での利用のみである。
従って、日帰り入浴客に対しても、同額の徴収しても問題があったわけではない。
しかし、宿泊し何回か入れるのと、1回しか入らないのを同列にするは、・・・という考えもある。


箱根町は、条例で日帰り温泉客には税を免除してきた。 また、日帰り客から温泉施設が徴収しなくても行政当局が黙認してきたところもある。 今回の上宝村も、日帰り温泉利用は1日に当たらないとして、税の対象から外してきたのである。
全国の市町村の財政が悪化している今日、税の不足を補う手段として、入湯税の対象拡大に目を向けている市町村が増えてきた。 愛知県大府市は、JA経営の日帰り温泉施設に対し、開業して3年経った今年の4月、市条例を設けて150円徴収し始めた。 それに対し、温泉施設側は金額の減額を申し入れたようだが、主張は通らず、やむをえないと、利用料を700円→850円に値上げした。 当然のことながら、利用者はかなり減っているようである。
奥飛騨温泉郷の日帰り温泉の利用料金は現在500円が多いが、税金のため、3割値上げをすることになる。
岐阜県には温泉地が多く競争が激しい。 温泉側としては、税金徴収による地域振興よりも、日帰り温泉の安い料金をアピールできた方が客誘致につながると思っているようなのだ。
無料と紹介した箱根町も条例を改正して日帰り客からも徴収するように変えたが、金額は低く抑え、50円である。 また、その他の地区でも、80円というところもある。


私は、宿泊と日帰りを同じ税額にするというのはいかがとおもうが、最近できた日帰り温泉を管轄する市町村には通じそうにない。
更に、温泉水を運んでくるスーパー温泉施設や保養所などに課税範囲を拡大し、徴収していきたい動きだ!!

( 2003年6月7日 )


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かうんたぁ。