テーマ名   『 新しい温泉施設のあり方 』


5月24日から、温泉法の施行規則が改正され、(1)湯をかけ流しているか、循環させているか (2)入浴剤、殺菌剤を使っているか (3)加水の有無(4)加温の有無の4項目の表示が義務付けられた。

10月3日に南木曽町田立で行われた花馬まつりの帰路、少し足を伸ばして付知峡へ行った。
その際立ち寄った湯が付知峡倉屋温泉で、今年4月にオープンしたばかりの日帰り温泉施設である。
木材の産地ということで、すべて木でつくられた建物であり、湯槽もタイル貼りもあるが、その上には桧材で覆われていて、木特有のあたたかみが感じられ心地良かった。
案内パンフレットに天然かけ流しの湯とあるが、風呂場に入ってなるほどと思った。 かけ流すための工夫があったからである。
まず、露天風呂だが、2つにスペースを分け、上段の浴槽から下段へ自然に流れ落ちるようにしている。 温度差も出、また、湯をむだなく使う工夫である。 
室内にあるのは大きな長方形の浴槽のみで、最近はやりのジャクジーやジェットバスという類のものは一切ない。 これだけでは寂しいと思ったのか、一部のスペースを深くし立ち湯風にして変化を付けていた。 これで湯の流れも湯口から出口へと傾斜していくだろう。
その他、さわらで作った小さな樽風呂と壁からちょろちょろ湯が流れているベンチ浴があるが湯量は少ないですむ。
今流行の風呂は湯量のみ多く使うので、その対策のためm、循環式というものが考え出された。 それが今曲がり角にある。
天然かけ流しを実現するには草津や登別などのように源泉の湯量が潤沢でないと実現できないのである。 四万温泉は団体客が入るような馬鹿でっかい湯船を用意できずバブル期には苦戦したが、風呂が小さいため、かけ流しができ、ブームにのって成功した。 
倉屋温泉は風呂の種類をあきらめ、大きな浴槽のみに特化して流し放しを実現している。 
温泉水は貴重な資源に間違いないので、この施設は、今後の温泉施設の一つのあり方を示していることは間違いないが、風呂の種類を減らしたこのやり方が顧客に正しく理解されるだろうか??

( 2005年10月4日 )


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かうんたぁ。