先日、久しぶりに紀伊半島を訪れた。 旅行計画は家内の担当。 インターネットで、いろいろ検索の結果、1泊は高い旅館だが、勝浦では安いが、もしかするとお値打ちかも知れないところを見つけたが、どうするという。
国内営業で会社生活で20年間全国を旅していた小生は色々旅したが、夜の社会は詳しいが、昼間の生活は分らない。 1泊2食で7800円では会社の保養所の料金と変らない。 食事は駄目でもともと。 部屋はせめて少しは良くと思い、2000円プラスの9800円で申しこんだ。
ところが、予想しなかったのに、大変よかったのである。 部屋は10畳以上ある部屋が2部屋。 三人だったので、どのように寝ようかと戸惑うほど。 料理はバイキングとあったが、値段からしてちゃちいと予想していたが、味は良く美味しかった。
この紀伊勝浦温泉越しの湯は、バブル前は地元でも老舗の旅館だったようで、源泉を10本も持っていたが、2002年に倒産したようで、その後、湯快リゾートが経営を引き受け再建したものである。
この低料金の秘密は、団体客を相手にせず、また、徹底して無駄を省いている。 玄関に着いても誰の出迎いもなく、車は駐車場に自分で運ばなければならない。 フロントでは、部屋の鍵と地図と案内の説明があるだけで、部屋までは自分で荷物を担ぎ、部屋を探しながら歩かなければならない。
浴衣は途中にあるところで好きな柄の浴衣を選べるが、部屋に事前に用意されているお茶とお菓子も自分でお湯を入れ、飲まなければならない。 要すると、全てセルフなのである。
夕食も朝食もレストランに行き、和食、洋食、中華が用意されているので、好きなものを好きなだけ食べられる。 お酒や飲み物を呑むときは、呼べばボーイが来るが、全て自分が歩いて持ってこなければない。 那智で取れた魚が出され、鬼怒川や熱海の旅館より、美味かった。
この旅館の経営のポイントは人件費の徹底的な削除であった。 と言っても、風呂場の清掃はちゃんとしているし、部屋に菓子も複数、お茶も複数あり、心配りは充分あると思う。
湯快リゾートは白浜温泉や下呂温泉や山中温泉など、有名な温泉にあるが、他の旅館もかっては立派の旅館だったのだが、バブル期の設備投資と団体客に胡坐をかいた旅行社任せで破綻したことでは共通のような気がする。
北海道のカラカミグループや軽井沢の星野リゾートは少人数でも経営できる高級旅館で、再生を果たしてきているが、湯快リゾートは徹底的な合理化で旅館を再生していて、素晴らしいと思った。
( 2007年10月13日 )