9月も終わりの25日〜28日、念願の珊瑚草の撮影と、秋鮭の遡上を見たいと、道東の旅にでました。
数年前、旅の雑誌に、妻に先立たれた定年になった会社員が、自由な身になったのを機に札幌の家を処分し、代わりに購入したキャンピングカーで、道内を気ままに移動している様子が紹介されました。 好きなところに何日も滞在し自由に写真が写せるなんて、なんと羨ましいことかと思いました。また、妻に先立たれての追憶の旅として、2人の思い出の地を旅行する姿に、何か切なく感じました。 あれから、かなり年が経ちましたが、彼は今どうしているのでしょうか ・・・・・・
そのページに、彼が撮した珊瑚草の写真が紹介されていて、珊瑚草の存在を知ったのです。 その時から、1度現地で撮影してみたい気持ちになりました。
これまで何回も北海道に行きましたが、全てレンタカーを借りての自由行動でした。 レンタカーでの移動は、自由な、反面、運転で疲れてしまう。また、地域情報に疎いという欠点があります。
今回は、本格撮影の前のロケ(事前情報収集)として、団体旅行でいくことにしました。
(幸い、行きたいと思うところを網羅する内容のツアーを見付けることができた)
行っての感想は、撮影は、時間の制約などで満足という訳にいきませんでしたが、なにもせず目的地に連れて行ってくれる点ではよかったと思いました。
珊瑚草で訪れたのは、網走市の能取湖(のとりこ)です。
能取湖は、小さな水路でオホーツク海と繋がっていますが、その一角に真っ赤な絨毯を敷き詰めたような珊瑚草が色づいていました。
遠くに海の青そして赤の絨毯が連なり、白いかもめがエサを探して点在し、1枚の絵になっていました。
なんともいえない自然の赤に時間を忘れて見とれました。
珊瑚草は、以前より増え、各地で保護繁殖されているとのことでした。 隣のサロマ湖にも数ヶ所あるそうです。
知床の川は、鮭の遡上の時期になっていました。 小さな川にも登ってきており、中には、溝のような狭いところで、身動きのとれない可哀想な鮭を見ました。 鮭のことは全然分からないのですが、樺太鱒が大部分ということでした。
鮭は、生まれた川を探して、3年後に戻るということですが、方向音痴の私としては水の臭いを嗅ぎ分けるなど信じられないことです。
一生懸命帰ってきて、産卵が終えたら死んでしまうという一生は、どういうものなのでしょうか。
知床道路の脇に、オシンコシンの滝がありました。知床は、アイヌ語で地の涯(ちのはて)を意味するということですが、この道路のおかげで人が奥に奥に入り込むようになっていても自然のふんいきは昔のままであるような気がしました。
(半年以上が道路閉鎖になっていることもあるのでしょう)
オシンコシンの滝は、風景写真家竹内敏信氏やその他の方の写真で、興味がありました。
行くことが困難な場所を想像していたのに、道路の脇にあるのに驚きました。
水量が少なかったが、威風堂々とした滝でした。
着いたのが日が沈む寸前だったので、出来上がった写真は、赤茶色の背景に滝という構図なってしまいました。 また、時間が限られていたので下からしか写せなかったのですが、上から撮れればまた違ったものになったのでしょう。
またの日の楽しみにとって置きたいと思います。
日が沈みそうになる頃、ウトロ温泉に到着しました。
荷物をフロントに預けたまま、飛び出す。
オホーツク海に沈む夕日をみるためです。
案内に従って歩くのですが、海が見えるところになかなか辿り着きません。
やっとの思いで着いたときには、”夕陽は海に落ちよう”とする瞬間でした。
海面が赤く染まり、そして、太陽は消えました。
ここは、オートキャンプ場の一角のようです。 、テントが2張りありました。
ホテルに戻る途中、夕陽台の湯(ゆうひだいのゆ)という施設を発見。
早速覗いてみる。
”500円で入れる日帰り温泉施設”との返事なので、”食事前に一風呂浴びよう”と、ホテルにとってかえしました。
フロントで荷物を受け取り、部屋に放り込み、バスタオルとタオルを持って、温泉施設に向かいました。
ナトリウム・塩化物、炭酸水素塩泉(含重曹食塩泉)で、泉温61℃ 800L/分と表示されていました。
温泉施設が断崖絶壁にあり、知床8景の1つ”夕陽がオホーツク海に落ちる光景がすばらしいこと”から名付けられたということですから、風呂からも夕陽が見られるのかも知れませんが、もう暗くて駄目です。
岩造りの露天風呂と室内浴槽が男女別に1つづつあるだけの設備で、5〜6人位しか入れない大きさですが、自然の中での入浴は格別です。
茶褐色に濁った含重曹食塩。 源泉を薄めず、冷やさず、湯を流し放しにしているので、大変清潔の湯であることに満足しました。
入浴客は、地元のおじさん2人と若い人1人。
若い人と、露天風呂で一緒になったので、聞くと、千葉からフェリーで苫小牧に来て、バイクで旅しているとのこと。 今夜は、テントに泊まるという。
さっきみたテントの1つは彼等のものらしい。 フェリーの中ではよく眠れたと話してくれました。
食事時間が気になったので、充分な時間がとれなかったのが、心残りだった。
もっとゆっくりしたい温泉施設だった。
ウトロで宿泊したのは、知床プリンスホテル。
ホテルには、あまり大きくないが、感じの良い露天風呂がありました。
大きな室内大浴場やサウナもありました。
また、男女の風呂が夜中に入れ替わるので、両方を体験することができました。
源泉ですが、夕陽の湯と同じものでしょうか?
ホテルの湯には寝る前と朝にも入れたので充分満足したが、日帰り温泉”夕陽台の湯”の方が、印象が強く残りました。
夕陽とオホーツクの自然そしてカウンターの素朴なおじさんの応対、質素な露天風呂がそう感じさせたのだろう!!
(平成14年10月10日)