mrmaxの全国温泉めぐり

 『 近畿の秘湯 ー 十津川温泉を訪れる旅 』 


近畿の中で、名古屋から日帰りで行くのが難しいのが、 城崎温泉、熊野の湯、そして、十津川温泉であろう。 
他にもあるだろうが、この三つの温泉は一度訪れてみたい、と思った温泉である。 
その内、熊野の本宮の湯は、昨年訪れることができた。 
次は十津川温泉へ行きたいなあ!!、と思っていたら、思わぬプレゼントがあった。 




七里御浜 今年の誕生日で、古稀を迎える。 御盆が終わった、9月のある日、妻が、古稀と結婚40年の記念に、二人で旅行をしよう か?と言ってくれた。 最初は壱岐に行きたいということだったが、交通の不便なことなどで、近いところでのんびり温泉に 入ろうということになり、妻が行きたがっていた奈良方面を組み合わせた十津川温泉を提案し、決まった。 小生、奈良県の 温泉はいくつか入ってきたが、十津川温泉だけは日帰りでは無理なので、泊まらざるをえないと思っていたので、よいチャン スだった (右写真ー七里御浜)
出発の1週間前、十津川の旅館に予約確認をすると、五条から入る国道168号が大塔で土砂崩れがおき
て、一部通れなく なっているので、
花の窟神社 他の道がよいとのこと。 名古屋から4時間半で行けると思っていたので、計算違いである。 知らぬ道 より知った道と、昨年の熊野への道を選んだ。 朝早く出発し、松坂を経て大宮大台ICで高速道路がなくなるので、国道42 号を走るが、道が曲がりくねっているので、スピードが出ない。 前回、雨のため、寄れなかった熊野市の花の窟神社に立ち 寄る (右写真)
花の窟神社は、神社といっても、古から社殿がなく、古代の熊野自然信仰を現代まで伝えているところで、
日本では一番古い神社といえよう。  祭神は、伊弉冊尊(いざなみのみこと)と軻遇突智尊(かぐつちのみこと)
花の窟神社 ある。 
日本書記 に、 「 伊弉冊尊は、軻遇突智尊を産むときに灼(や)かれて亡くなったが、その死体は熊野の有馬村に葬られ。 この地の 住民は、花の時に花を以って祭る。 又、鼓や笛、旗を用いて、歌い舞いて祭る。 」 とあることから、この神社の名前が 付いたようである。 伊弉冊尊を祀る正面は、岩壁の高さが四十五メートルあり、上部に凹んだところがあり、その上部から 締め縄の代わりの綱が結びつけられている。 地面には、その正面に壇を作り、玉垣で囲った拝所が設けられていた  (右写真)
その反対側の磐には、伊弉冊尊の岩に比べると低いが、軻遇突智尊を祀っていた。 
道標 花の窟神社を出て、左折すると、右側の茶屋前に、右 くまのさん じ(志)ゆんれい道 と書かれた道標が建っ ている。 ここは熊野三山の巡礼道で、ここから右に曲がって行くべし、という指示であったが、右に曲がらず眺めの良い 松林を直進すると、行く手に志原川が海に注ぎ、旅人は波の合間を見て、渡るので、走り湊の難所といわれた。 道標に従い、 上流に行くと渡しがあるのだが、わずかの労賃を惜しんで、この浜を歩き、寄せくる高波に足をすくわれて、多くの人が亡く なった、とある (右写真ーその道標)
小腹が空いていたので、近くのコンビで豚まんを買い、七里御浜を走り、新宮市から熊野川を北上する。 

つり橋 左に入ったところに、川湯温泉があるが、目的地は十津川温泉なので、そのまま走らせ、熊野本宮の脇を通り、北上する。  途中には、瀞峡下りの船の発着場がある。 北上に比例して道は狭くなった。 十二時過ぎには十津川温泉に着い たが、旅館のチェックインの時間には早いので、十津川名物の谷瀬のつり橋を見にいった。 途中の道は狭く、蛇行している ので、スピードを殺し、注意して走った。 程なく現地に着いたが、慣れない道なので数倍かかった感じがした (右写真)

谷瀬のつり橋は、昭和二十九年にダムが造られた時に架けられた、対岸に渡るために作られた生活用の
温泉地温泉の足湯 つり橋である。 長さは二百九十七メートルあり、地表からの高さは五十四メートルで、鉄線で作られたつり橋では日本一 長い。 人の歩きに共鳴して、振幅が大きくなり、途中で引き返したが、妻は平ちゃらだった、といわれてしまった。 宿に 向う途中に町役場があり、その前に道の駅があったので、そこで食事を、と思ったが、やっていなかったので、御握りを食べ ながら、店前の足湯につかる (右写真)

足を入れた瞬間熱いと感じる位の湯で、気持ち良い。 道の駅の職員に聞くと、温泉地温泉の 源泉の湯が注がれている、という。 
泉の湯 近くに日帰り温泉があるので、教えられた通り行くと、数分で泉の湯に着いた。 妻は入らない というので、金を払い、湯船につかった。 この施設は共同浴場で、室内風呂と露天風呂はあるが、石鹸もシャンプーも 置いていない。 浴槽はさほど大きくないが、小生のみなので、ゆったりと入ることができた。 流し放しの湯に入り、 至福の時間を過ごした (右写真)
温泉地温泉を後にして、今夜の宿の吉乃屋に向かう。 旅館に到着したのは15時である。 
温泉地温泉に入らなかった妻は、早速、湯船に向かった。 小生は、窓の下にある湖で、動きまわる鴨数羽をのんびり眺めていた。 

庵の湯 しばらくして、妻が帰ってきたが、食事時間には間がある。 
近くに、共同浴場があるというので、フロントで割引券をもらい、旅館から百メートル程の庵の湯に行った (右写真)
道路に面したところに、源泉の湯が飲めるところがあり、下に降りていく階段がある。 下には、飲泉所と足湯があり、四阿 があり、利用はただである。 その奥に、受付があり、代金を払い、湯船につかった。 先ほどの温泉地温泉とは泉質が違 う。 また、こちらには露天風呂はない。 その代わり、シャンプーはあった。 
吉乃屋 旅館の湯と同じなので、短く風呂に入り、旅館に戻った。 吉乃屋は、十津川では一番大きな旅館のようである。  十津川の渓谷が育んだ山の幸、川の幸を出しているとのことで、鮎の塩焼き、鯉のあらい、山菜のてんぷらなどが出てきた ので、地酒を飲みながら、すべて平らげた (右写真ー吉乃屋)
寝る前と早朝に風呂に入った。 十津川温泉は、元禄 年間に炭焼人夫によって発見 されたといい、ナトリウム炭酸水素塩、塩化物泉である。 
源泉は、先程行った庵の湯より二キロ程下ったところにあると いい、源泉の湯温は70℃あるが、運ばれてくる途中に温度が下がるのとそれでも高い時にはダム湖の水に通して調整する、という。 
露天水車風呂 早朝風呂に 行くと、小雨が降っていた。 脱衣場からは、大きなガラス窓から大浴場、そして、その先に露天風呂が見えた。 霧雨の ために、露天風呂は少しかすんでいるが、その先に、青白い湖面が借景となり、パロラマ絵になっている。  室内風呂は少し熱かったが、すぐになれた。 雨で外は寒そうに思えたが、飛び出して水車風呂と名付けられた露天風呂に 入る (右写真)
外から見えなくするためのすのこ屋根があり、雨は防止できていた。 湯の注ぎ口にあるコップで温泉水を飲んだが、飲みや すく癖はなかった。 大きな木の切り株が一つあり、その中がくりぬかれてお湯が入って
いるので、昨年の熊野で経験した壷湯を思いだし、入ってみると頭には小雨があたり、湖面はもやっと
露天水車風呂 して、なかなかよい感じで ある。 外の空気が冷えているので、のぼせず入ることができた。 朝食には温泉粥も出た。 不通になっていた 国道は明日からは通れるようになる、といわれたが、今日出発では利用できない。 国道425号は道が狭いので勧められ ないと、旅館ではいわれたが、昨日利用した京都の人は紅葉がきれいだった、というので、この道を通り、国道169号に 出て、吉野に向かうことにした。 狭くスピードは出ず、時間はかかったが、滝と紅葉はすばらしく、ここを通ったのは 正解だった (右写真)
十津川村はかけ流し宣言をしていて、どの旅館もかけ流しである。 今回訪れて温泉の良さに満足した。 
ただ、国道168号が使えなかったこともあり、名古屋からは大変遠かったです〜  


(平成20年11月16日)



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かうんたぁ。