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松が茂る海岸に城郭が建ち、沖には船が停泊する絵は三原城のもので、 妙正寺に所蔵されているという。
「 小早川海軍の基地になった砦は、
天正八年(1580)から天正十年(1582)にかけ、
二層の櫓が三十二、城門が十四ある城郭に改造されて、
小早川隆景は本拠を新高山城から三原城へ移した。
三原城は瀬戸内海を軍事的に掌握する為に建てられた梯郭師式の城郭で、
海に向かって船入りを開き、壮大な天守台を北(陸側)に頂いた本丸、
その東、西、南の三方に二の丸、
そしてその東側に三の丸と東築出、西側に西築出を台形状の城郭で、
背後に新高山城下などから寺院を移築し、
背後の桜山には詰城の機能を持たせていたという縄張であった。 」
ペアシテイの南の道を東に進む。 このあたりは城町という地名である。
商店街の先に石垣が続いているところがあり、城址の石碑も建っていた。
この石垣は「三原城船入櫓跡」である。
本丸などの主城の南東にあった小高い島に手を加えて築かれた海上の櫓である。
石垣をぐるーと回って少し行くと、堀があるが、
そこにある石垣の一部が島の岩礁ということである。
このあたりは公園になっている。
「聖トマス小崎像」の傍らに教会が立てた説明碑があった。
「 私のこともミゲル父上のことも心配下さいますな。
天国の全き幸福を失わぬように努力なさいますよう、人々からいかなることを受けようと耐え、
すべての人に大いなる慈悲をかけられますよう。
1597年豊臣秀吉のキリシタン弾圧において、
長崎西坂の丘で処刑された殉教者26人の中に14才のトマス小崎がいた。
京都から長崎に護送される途中、三原にて伊勢の母マルタに書いた別れの手紙の一部である。
処刑後、父ミゲルの襟元から発見させ、その訳はローマに保管され、
日本二十六聖人の一人として世界の人々にあがめられている。
けなげな少年の心を末永く伝えるために城址に近いこの地に石碑を建立した。
三原カトリック教会 」
この後、駅の北側に行くと、新幹線の駅下を囲むように石垣がある。
駅の周囲は本丸跡で、駅の北側三方を掘が天守台を囲んでいる。
「 寛文三年(1663)に本丸御殿が建て変えられていたが、 明治二十七年(1894)山陽鉄道三原駅開設の際、城地は駅の用地になり、 さらに山陽新幹線の開通の際、駅の高架化も併せて行われた結果、 新幹線が天守台を横断して造られてしまった。 」
「天守台石垣(館町)」の説明板が立っていた。
「 日本一の規模を持つ天守台は、
広島城の天守閣なら六つも入るという広さを持つものだった。
三原城が造られた1567年より十年後に、信長により安土城が造られ、
初めて天守台に天守閣が聳えるようになり、以後全国に流行しました。
しかし、この三原城築城の時はまだ天守閣を造る思想がない時代だったと考えております。
山城から平城に移行する時代のごく初期の城築です。
この裾を引いた扇の勾配の美しい姿は群を抜きます。
しかも、余人は真似るべきでないといわれた「アブミ積み」という特殊の工法は、
古式の石積形式を四百年経た今日まで立派に伝えております。
宝永四年(1707)の大地震では城内を役夫二万五千人を動員して修理した。
しかし、破損箇所は・・・、
「元のごとく成りがたかりしを、伝右衛門をして築かしめられけるに、
遂に築きおさめければ」とあるが、これは東北陵面のことと推測します。 」
池の周りにハート鯉のと説明板にあった。
「この一帯は三原城歴史公園になっていて、
堀に放されている鯉は三原市の阪井養魚場で開発された
頭にハート模様を持つブランド錦鯉である。」
天守台に入るには駅の北西にある専用通路を利用する必要がある。
開けられている時間は朝から夕までである。
入口に「天守台跡入口」の看板があり、通路を進むと階段があり、
それを登ると天守台である。
中央に「史跡 三原城跡」の看板はあるが、
全体の四分の三は植え込みに占められていて、
城跡を示すのは「史跡 小早川氏城跡 三原城跡」の石碑だけである。
「 小早川隆景は兄の吉川元春とともに、甥の毛利輝元を助けて、
中国統一を完成させて、瀬戸内海の水軍を掌握していた。
隆景は天正年間毛利氏の広島城築城と相前後して、
沼田川河口の三原の小島をつないで、城郭を築き、
城郭兼軍港としての機能を持たせた名城で、
満潮時にはあたかも海に浮かんだように見えたので、浮城とよばれていた。
小早川氏の移封後も福島氏、浅野氏の支城となっていたが、
JR山陽本線および新幹線が本丸を貫き、
今は天守台跡とそれをめぐる濠および船入り櫓跡、中門跡などが残るのみである。
江戸時代の天守台には天守は築かず、隅に二重櫓を築かれていたようである。 」
以上で三原城の探訪は終了である。
三原城へはJR山陽新幹線・山陽本線三原駅より約5分
三原城のスタンプは少し離れた「三原市歴史資料館」にある。