『 た べ も の 談 義 』


==== 生活の中で、なにげなく食べている”たべもの”について、書きつづりたいと思います。  ====

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 納  豆

 2003年3月9日

納豆は健康ブームの影響もあり、全国的に市場が拡大しているという。
大阪万博のころは、中部以西では納豆はほとんど食べられていなかった。 あのねばねばした感じ、独特の臭いは、関西人にとってはけったいな食べ物であり、それを食べる関東人は、あほなーもん食べはると、軽蔑(?)の目で見られたものだった。
万博見物で大阪ロイヤルホテルに泊まった際、朝食に納豆がでたので感激し、ウエイターに聞いたところ、『泊まられるのは関東方面の人ばかりですから』と言われたのには参った、という思い出がある。
そうした関西にも普及していったのは何故だろうか、また、いつ頃からなのか分からないが、今や納豆はけったいな食べ物ではなくなった。
NHKの「ためしてガッテン」では、これまでに数回取り上げられ、フェルヒノールの含む食品で、血液のさらさら効果に大いに貢献すると紹介している。 みのもんたの昼の番組でも、取り上げられるなどで、納豆は健康食品というイメージが定着した感がある。
納豆といえば水戸と言われるほど、茨城県のイメージが強い。
最初に駅売りされたのが、水戸駅である。 藁(わら)つとに入れた納豆を駅の売店で売っていた。私も、出張の際、買って帰った記憶があるほどである。このことが、水戸が納豆の本場だと定着させていったと思っているが、間違いだろうか。
納豆は戦前は自家でつくるものだった(大都会はしらないが)戦後も田舎から貰ったりしていたが、昭和30年代から売られるようになってきた。包装も、藁(わら)つとから、経木そして、今のポリ、とスタイルを変貌させてゆく。また、個人商店からスパーへと、販売形態を変えていった。 それに伴い、造る会社も大きくなり、製造所も減っていった。
現在の納豆市場は、「おかめ納豆」を販売するタカノフーズという会社が、全国の約25%を占めるという。続くは、朝日食品など大手4社。 その他に、約700社の中小が乱立している状態にある。
ところが、今、納豆業界に異変が起きているという。 ミツカンの業界参入である。
ミツカンはご存じのように、食酢メーカーである。同社は、食酢をベースに「味ポン」や「おむすび山」などを世に送り出した食酢メーカーらしくない会社である。 食酢市場は飽和状態にあるので、発酵という技術が使用できる納豆へ乗り出すことにしたという。 93年に東京のメーカーを買収、97年には茨城県大手の朝日食品を買収して、納豆市場に本格的に参入し、短期間で2位に躍り出た。今後は、5位の旭松食品との提携を強化してゆくというから、1位のメーカーも安閑としてはいられない。
2位にした原動力はなんだったのだろうか?
実は、テレビで大いに宣伝られている『金のつぶ』という商品だったという。
『金のつぶ』は、無臭菌を自社開発し、商品化したもので、競合関係の少ない西日本向けに「臭いを嫌う人に飼って貰おう」として、開発したものだったそうだが、以外にも、東日本で、においを気にして食べなかった若い女性に大受けし、「におわなっとう」の名を定着させた。 味ポンなど商品企画力ある会社だからこそできたといえるが、既存他社は”におうもの”という先入観から抜け出せなかったのに対し、他業種からきたミツカンでは、新たな発想から、自社の研究室で新たな菌を開発させた。 この商品により、朝日食品は14%のシエアをとり、2位に躍り出たというから、発明はすばらしい。
また、納豆市場は1,100億円で、食酢市場の2倍もあるので、魅力!!ともいう。 こうした発想は新たな可能性を引き出してゆくだろう。
  しかしまだまだ課題がある。 納豆は、日配食品なので、全国展開には、地域ごとに工場をつくるとか、配送体制の確保するなど、難しい部分が多い。 これまで、700社もの納豆メーカーが残ってこられたのも、新鮮さという日配で守られてきた部分が大きい。今後、これらをどう解決していくか、納豆メーカーの挑戦は続く。


 豆 腐

 2003年5月11日

豆腐は手軽で廉価な健康食品です。 一時は充填豆腐などの廉価な豆腐が流行した時もありましたが、遺伝子組み替え問題や自然食品ブームの影響もあり、最近は豆腐に対する見方も変わってきて、値段の高い手作りの豆腐を求める人が増えてきました。 手作り豆腐の専門店が増えてきて、中には、ずぶの素人が開業したケースもあるようです。
背景には、景気低迷は続いていますがが、豆腐は高いといっても、1,000円札でお釣りが来る程度なので、「せめてうまい豆腐ぐらいは!!」美味いものを喰ってという意識が味方しているように思われます。
今回は、豆腐について取り上げてみます。
豆腐の歴史
豆腐は、中国生まれの日本育ちです。 中國でいつ誕生したのかについては諸説あるみたいですが、日本には奈良時代に遣隋使によって伝えられたというのは間違いないようです。 1183年の春日大社の記録に、「春近唐符一種」と記載され、残っています(唐符は豆腐だろうということです)
当初は、僧侶そして、貴族階級に広がりましたが、限定的だったようです。 南北朝から室町時代に入ると、寺院の記録にも多く登場するようになり、神社や寺の精進料理として上流階級にかなり普及しました。
室町末期からは、大衆にも侵入し始め、各地にも豆腐の記述が出てくるようになります。豆腐は茶道の広まりとも関係があったようです。 特に、京都は水がよいのでそこで作られた豆腐は好評でした。
江戸時代に入ると、江戸や浪速でも、それぞれの有名ブランドも登場するようになってきました。
慶長年間には、京都祇園社邸内の二条茶屋が、祇園豆腐として、田楽を売出し、大好評を博しました。 その後、この成功を見て、豆腐料理店がぞくぞく登場しました。
天明2年(1782年)には、豆腐料理の本、「豆腐百珍」が発行されて、大人気を博しました(続編がでた)
そのようにして、全国津々浦々に豆腐は普及していったのです。
製法の違い
中国の豆腐は、固めで、塩気が強く、油で合わせたり、いためたりし、そのまま食べることはありません。 また、豆腐を発酵させた臭豆腐というものもあります。
日本の豆腐は、中国と違い、そのまま食べますので、それが可能になるような、独自の製法へ進化していったのです。
中国の豆腐は生絞り製法で造られます。 一方、日本では、煮絞り製法で製造されるのです。
沖縄には、14世紀になってから、冊封使により中国から伝えられました。 沖縄では、今でも、中国の生絞り製法で作られています。 生絞り製法とは、豆乳を生のままこして、おからをとってから、造る方法です。 この方法では、良質の大豆タンパクを多く含み(本土の1.2倍)、栄養価が高いのです。
本土で行っている煮絞り製法は、豆乳を煮立ててから、おからを搾り取るやりかたです。
いろいろな豆腐
◎ 堅豆腐
白山豆腐ともいい、石川県白峰村の特産です。 『木綿豆腐を作る際に、おぼろになった時点で、うわずみを捨て、木綿豆腐にし仕上げ、その上に45kgの重しを乗せ、3時間そのままにしておく。 出来上がったものは、水に入れないでそのまままな板の上で表面が黄色味が帯びるまで放置しておく。』というものです。 石にぶっつけてもこわれない固い豆腐になり、縄で結んでぶら下げて帰るといいます。
製造元では、日持ちするので通信販売も手掛けています。消泡剤を使わず、無農薬大豆、天然にがり、完全天日塩だけで作っているなどのこだわりようです。
◎ 田舎豆腐
高知県の山間部の大川村、東津野村などを中心につくられている堅めの豆腐です。 凝固剤を入れ固める際、固める時間を短時間に行うことで堅めの豆腐が作られるという。
◎ 島豆腐
島豆腐は、沖縄の豆腐のことです。
沖縄県の那覇市は、1世帯当たりとうふ購入量が日本一なのだそうです。 沖縄人は、本土の2倍の豆腐を食べるといいます。沖縄料理では、昆布と共に欠くことのできない食材で、ごーやりゃんぶるなどで、1日に1回から2回は食べるのだそうです。
島豆腐は、弾力があり、いためものにしてもくずれない木綿豆腐です。 大豆の風味も濃厚で、本土の1.3倍の大豆タンパクが含まれています(重さも1.3倍)豆腐の大きさは本土は300gですが、島豆腐は1kgありますよ!!
◎ 糸満豆腐
沖縄県糸満市で作られる海水で固めた豆腐。 海水ににがりを入れた豆乳で豆腐をつくる。
◎ 地豆豆腐
じまみ豆腐。 落花生で作った豆腐です。 本土ではごま豆腐が作られるが、沖縄ではピーナッツで豆腐をつくります(主として、料亭で出される)。濃厚なぷりぷりした味です。
◎ つと豆腐
茨城県で行われる調理法。 豆腐をつとにに炒れ、わらで巻いて大釜でゆでる。それを煮物にして食べる。
他県でも、これに類似した料理法をとる処があるようです。 ◎ 岩手県の六浄豆腐
◎ 高野豆腐
いろいろな豆腐デザート
豆腐は消化吸収がよいので昔から長寿食といわれ、健康食品として女性にも人気が高い。 今いろいろな食べ方が開発され販売されています。
◎ とうふしゅうまいと嶺岡豆腐
福岡県久留米市の「梅の花」が販売しているものです。 嶺岡豆腐は、牛乳となまクリームを吉野葛で固めた豆腐。 「ミルクプリンの食感と香り」と宣伝しています。
◎お菓子とうふ
山梨県都留市のお菓子屋さんで販売している和菓子です。 
豆乳(豆腐)で栗あんや梅あんなどのあんをサンドした商品です。
◎ とうふソフト
全国でけっこう見られるようになった豆乳を使ったソフトクリームです。
汐留シティセンターにオープンした豆腐料理店の一角にはパーラーがあり、そこで、「お豆腐ソフト」「お豆腐ぜんざい」「生ゆば甘味ソフト」の3種類が販売されています。 京都から取り寄せた豆腐が練り込まれ、さっぱりした豆腐の風味がセールスポイントです。
◎ 豆花(トウファ)
六本木ヒルズにあるカフェは京都のとうふ老舗藤野が運営しているが、そこでは、豆花(トウファ)という商品が売られています。
豆腐パックに似せた四角い容器。暖かな豆腐に抹茶シロップか黒みつをかけて食べるもの。大豆の甘味がほのかに香るという。
◎ 豆腐チーズケーキ
丸ビルに出店した和菓子店が売り出したもの。 豆腐とプロセスチーズ、クリームチーズを混ぜ合わせ、酒蒸しして作るという。ざるとうふとして販売している。
以上の他にも、プリンやパンナコッタなどの洋菓子にも使われています。
今後もいろいろな豆腐デザートが開発されそうな機運ですし、ハンバーグやステーキだけでなく、洋食やエスニックなど、いろいろな分野の料理にも取り入れられていきそうです。
英語でも、TOFUで通用する国際商品ですので、今後の展開が楽しみですね!!
大塚滋さんの”食・食・食”から
中日新聞の日曜版に”食・食・食”として、大塚滋( 元・武庫川女子大教授)さんが米国での食べ方を紹介していた。
「コレストロールを含まない良質のタンパク食品ということで、豆腐はアメリカなどで健康食品としての地位を確立している。
 ただし、今のところ、向こうでの豆腐の食べ方は日本とはだいぶ違っていて、ケチャップやマヨネーズを使ったり、サラダに乗せたり、チーズと混ぜたりする方法がクックブックに紹介されている。 「トーフアイスクリーム」や「トーフスティック」が売られ、食べているとけっこうおいしい。」
と書いておられます。
また、田楽や冷や奴の起源について、
「日本でも、かっては豆腐は相当硬く作られたようで、そこから豆腐を揚げたり、串に刺して焼いたりするアイデアが生まれたのであろう。
串に刺して焼いた豆腐に味噌をつけて食べる料理は手軽な間食として好まれた。豆腐を長方形に切ってクシに刺した様子が、田植えの際に男が長い竹馬に乗って踊る「田楽舞」に似ていることから「田楽豆腐」と呼ばれるようになった。
また、「冷奴」という名は奴の衣装の背中の白い四角の模様に白い豆腐が似ていることからきた。」
と記されていた。
豆腐は、この暑い時期にはかかせない食材ですね!!


 しもつかれ(節分の日に思う)

 2003年2月3日

節分といえば豆まきである。
残った豆は、年の数だけ食べるという風習は日本全国共通なのでしょうか? また、まいた豆はどうなるのでしょうか? 
昨日のNHK「日本人の常識」では、節分がテーマに取り上げられていた。それによると、節分のことが最初に書かれたのは室町時代で、誰が蒔くかでもめたという日記だったそうである。
節分の豆で思い出すのは、栃木に伝わる郷土料理「しもつかれ」である。 テレビなどで紹介され、栃木の郷土料理ということになり、スーパーでポリに入れられて売られている。
『 節分でまいた残りの豆を使い、節分の後の初午の日に作られるもので、豆と大根、にんじん、酒粕、塩鮭の頭、油揚げなどをじっくり煮込んで作るというもの。大根、人参は、鬼おろしという大根おろしの大きなモノでおろす。味や入れる材料は1軒々違う。』という。
ホームページに載せておられる方の意見では、栃木、群馬、埼玉、茨城で普及とあるが、その意見には(?)である。
県でも県内全域で食べられているものではないような気がする(私が調べたところでは、宇都宮以北、特に那須郡での料理であり、両毛地区ではつくられないと聞いているが間違いだろうか)
また、以外に歴史は浅いのではないだろうか。 豆まきの豆、残った豆の活用法として普及していったのだとすると、昭和30年以降のものではないだろうか。
私の両親は、那須郡の出身だが、一度も食べたことがなかった。私の家では、塩鮭の頭と大根、人参、こんにゃくなどに、酒粕を加えて、粕汁にして食べていた。
戦後から15年ぐらいの時代で、冷凍技術のない時代だったので、栃木県、特に県北の大田原あたりは魚が入ってこなかった。鮭は、塩が一杯のあらまき鮭で、そのままでは塩からく湯につけてから食べると丁度という代物だった。それが塩引きといった由来なのだろう。お歳暮にあらまきを送る時代だったので、正月からしばらくは弁当のおかずといえば鮭の切り身だった。
社会人になって、故郷を離れていた。そして、12年前、宇都宮に戻ると、しもつかれの話がぽちぽちとでだした。そして、ここ数年はテレビや新聞に頻繁に登場している。ここ数年で、しもつかれは社会の認知を得たような気がする。
私は、ほやなどは食べるが、しもつかれは食べたことがない。見た目にグロテスクなので、食べる気になれないのである。 冷たくして食べるとおいしいというのだが、残念ではあるが。今後とも、郷土料理として残っていって欲しい。
本件にご意見のある方は、お寄せください。

貴方の投書をお待ちしています


「 ラーメンやソバ 」 について語る

かうんたぁ。