4 月 

4月に入っても、日光や那須などの山間部は冬眠から醒めずにいます。 新緑は残念ながら5月の日光東照宮の春大例祭以降にならないと望めません。 しかし、それ以外のところには春が訪れ、県内各地では一斉に桜が咲きます。
桜狂いの小生は桜の写真を写すため、この時期は多忙をきわめることになります。 
隣県の福島は三春の滝桜などしだれ桜の名木が多く有名ですが、県内にも美しい桜や歴史や由来のある木があります。
三寒四温というか、寒くなったり暖かくなる今日、日帰り温泉と組み合わせて、桜を見に行きませんか!!


県  北

寺子の桜 県北にある寺子の桜は、隠れた名木です(右写真)
(最近は県内では有名になったので、隠れたという存在ではないかもしれないが)
植えてから370年以上経つといわれるエドヒガンザクラで、年輪を重ねた枝はやや勢いを無くしているようにも感じられますが、毎年4月10日から16日ごろ、淡いピンクの花を咲かせてくれます。 薄墨ぽいピンクに見えるときもあります。
交差点から少し登りになっている道路脇から、少し入った墓地の中にあります。 
地元の農家が耕作している畠にありますので、迷惑にならないよう、鑑賞したいものです。
近くに、薬草温泉を売り物している芦野温泉があります。 ラドンを含む冷泉で、薬効が高いらしいのですが、1500円とやや高いので、まだ入ったことはありません。
今回の町村合併で、塩原町は黒磯市と西那須野町と合併し、那須塩原市となりました。 那須温泉郷をかかえる那須町はその市名に反発しましたが、新幹線の駅名を根拠に押し切ったという出来事があったと聞いています。
それはともかく、那須町の面積は広く、芦野地区にも及んでいます。
遊 行 柳 と 桜 芦野は東山道の時代から宿場でした。 芦野に旅の途中に立ち寄った、西行法師が詠んだ歌から、芦野の柳は ”遊行柳” として都まで知られるようになり、歌枕に使用されるようになったというところなのです。
高校時代真面目に勉強した人はご存知と思いますが、  松尾芭蕉は、「 奥の細道 」 の旅で、元禄2年4月19日(旧暦では6月上旬)、遊行柳に立ち寄り、
          田一枚 植えて立ち去る 柳かな
という句を詠んでいます。 
桜の花が、柳の新緑とマッチして、美しい情景を醸し出していました(右上写真)
これより南に、那須一族の芦野氏が天文年間(1532〜55)に築城した桜ヶ城趾がありまして、上に登ればソメイヨシノが林立し美しい。 登って行くのが億劫なら下から眺めても素敵です。
 山の神の桜 その途中にある道の駅「芦野」 にはぜひ立ち寄られることをお勧めします。 
水車で引いたソバ粉からつくられる手打ちソバはなかなかおいしい。 
値段も高くないので、一度ご賞味あれ。
大田原市(旧黒羽町)奥沢にある山の神 の桜もなかなかよいです(右写真)
山の神(旧地名だと思います)にあるエドヒガンザクラです。 
車が多く行き交う道路の脇に超然と立っています。
樹形もよく、はなやかな白っぽいピングが青空に映えきれいです。
ここまで行かれたら、黒羽温泉五峰の湯に寄られるとよいでしょう。 
露天風呂から那須連峰、高原山、日光連山を見ることができます。
西行桜 大田原市中心部から東南にあたる(旧湯津上村)佐良土の法輪寺は、 天台宗の古刹で、
大天狗の面で有名ですが、ここには西行桜 という古木があります(右写真)
花、とりわけ、桜を愛したといわれる西行法師が、旅の途中、この寺に立ち寄り、
     盛りには などかわか葉は 今とても 心ひかるる 糸桜かな
と詠んだと伝えられる桜です。 推定樹齢800年の古木です。 
寄る年波には勝てないのか、枝はところどころ折れて、痛々しい感じがしますが、小さめの白い花が咲きます。
花期ですが、ソメイヨシノのより早い気がします。
鐘楼の隣にあり、日本庭園になっています。
湯津上健康センターやすらぎの湯という立ち寄り湯は少し分かりづらいところにありますが、ご利用されるとよいでしょう。


県  央

町村合併でさくら市という市が誕生しました。 さくら市は宇都宮市の北東にある氏家町と喜連川町が合併したものです。 
喜連川という地名は足利氏の末裔の喜連川氏の城下町という由緒ある名前なので、惜しいと思っていますが、合併相手の氏家も鎌倉時代からある氏家氏とあり、残したい気持ちは一緒で、妥協した産物が新市名となったのでしょう。 
早乙女の桜並木 それにしても、思い切った名前をつけたものですね。
角館や三春や高遠など日本で名だたるところでも付けなかった名をいとも簡単に付けてしまった。
喜連川温泉に入る道の両側は、桜のトンネルで、迎えてくれます(右写真) 
早乙女の桜並木と呼ばれるもので、下に降りて見あげますと、菜の花の花の黄色と桜のピンクが見事な調和をかもしだして大変華やかです。
また、喜連川城址公園にも桜はありますし、氏家にも城址跡に桜はありますが、それほどの歴史ではありません。 どう見ても市名はややオーバーという感がしますが ・・・・
それはともかく、喜連川には、日帰り温泉施設が充実していますので、入らなければ損ですよ!! 
300円で入ることができます。
那珂川町(旧小川町)の観音寺の桜は年数がかなり経つ由緒正しいしだれ桜ですが、寺も荒れ果てた感もあり、樹にやや勢いが無くなっているように感じました。 
なす風土記の丘資料館 旧湯津上村から旧小川町にかけては、古代から人が住んでいたところで、古墳が今でも多く残っています。 それに関連した国の施設、なす風土記の丘資料館がありますが、小川館付近では、桜が数本咲いていました。
菜の花を前景に右の写真のような萱葺き屋根の写真がとれますね。 
小川館から小川町内に向かった左側には、 まほろばの湯 湯親館 という、日帰り温泉があります。  比較的新しい施設です。    
県内の人にもほとんど知られていない桜に、西山辰街道のヤマザクラがあります。 別名、義家桜ともいいます。
義家桜 西山辰街道は、 平安時代の古い街道である東山道で、 源頼義、義家父子が、奥州に安部頼時を征伐に行ったとき、通ったと伝えられます。 
義家が持っていた桜のむちをさして置いたのが根付いたと伝えられるもので、目通り5.5m、高さは19mにもなる、900年も経過した県内最古のヤマザクラです(右写真)
  根元には、桜観音が安置されていますが、奥州で調達した馬が病に罹り、困った馬喰が桜の根元でひざまづき、神に助けを求めたところ、翌朝には平癒したので、お礼に観音像を祀ったといわれているものです。
桜の花はさほどきれいとは思いませんが、ロマン溢れる話なので、一度訪れるのもよいのでは!!
宇都宮に戻る途中の高根沢町には、元気あっぷ村という温泉施設があり、小生の愛用の温泉です。 出かけたときの銭湯代わりという存在です。
宇都宮市鶴田町にある県立中央公園は全国的に見ても、なかなか美しい公園であると思います。
中央公園 公園には、シダレザクラや山ザクラなど、いろいろな種類の桜が植えられ、色合いが微妙に違うので、見ていてあきないですね(右写真) 
特に夕暮れのシルエットになるころや池に浮かぶ花影や鴨を入れてのショットなど、いろいろな角度から写せるのがよいと思います。
かって軍道といわれた日光街道の桜はほどんどが切られてしまいましたが、残った桜は健気に花を咲かせています。
国分寺町にあるしもつけ風土記の丘には、岐阜県から分苗されて育った薄墨桜の根尾桜がありますが、ソメイヨシノより早く咲くのか、桜祭りが行われるころには散ってしまうようです。


県  南

栃木IC近くの大平山神社一帯は、ソメイヨシノが多く植えられていて、花の時期になると首都圏からツアーバスが来るほど、有名な場所になっています。 特に、栃木カントリークラブ入口あたりの桜並木がきれいですが、駐車する場所がないのが難ですね!!
太 山 寺のしだれざくら 大平山の麓にある太山寺には、家光の側室(家綱の生母)お楽の方が植えたと伝えられる桜があり、多くの人を集めるようになりました。
樹齢350年のイワシダレザクラで、濃い紫がかったピンクの花を咲かせ、しだれた枝の少し開いたつぼみもすてきです(右写真)
工事で数年間休止していた時もありましたが、新しくなった本堂の輝きにも負けず燦然としています。 雷が落ちたり、台風で大枝が折れたりして、かなり見劣りがするようになったという人もいますが、それでも良い樹です。 ライトアップされた姿もよいと思います。
また、手前にある信行寺にはまだ若いがしだれざくらなどがあります。 訪れた日には、散った桜のはなびらと落下つばきが重なって風情がありました。 また、栃木ICから大平山に向かう途中の錦着山公園は地元の人達の花見の場所になっています。
龍興寺のしだれざくら 都賀町には大柿のしだれざくらとして、地元で愛されている桜があります。 桜がある龍興寺は、江戸時代には、多くの寺坊や伽藍をもつお寺だったらしいですが、現在は普通(?)の寺になってしまいました。 その境内に残る桜は、樹齢300年、樹の高さは11m、目通り3.2mの大樹です。
枝がところどころで折れてしまったせいか、花が全体に咲くという状況ではありませんが、白っぽいピンクの花を一生懸命咲かせているのを見ていると、いとおしい気になるのは私だけでしょうか。
この近くに自生している、カタクリ山の山桜も一見の価値があります。
山の傾斜に1本ずっしり立っていて、花はピンクがかった白の巨木で、その姿には風格を感じます。 
タイミング良く花が咲くときに行けていないので確信はありませんが、黒羽から先の須佐木にある山桜がこの地方で一番遅く咲くのではないでしょうか? 
このように、桜を追って南から北へと訪れ、畑に咲く菜の花の黄色に気をとられている内に、知らない間に4月は終わりをとげてしまいます。
この時期はほこりや砂が一杯ですから、桜の見物の帰路は近くの日帰りの温泉に入るのがベストと心得てい ます。

上述した内容では桜の場所や温泉の場所が不十分と思いますが、栃木の温泉と栃木の桜という別のページを作成していますので、これを併用願います。
桜の場所の詳細説明は、栃木の桜 で、  温泉は栃木の温泉ページです。







かうんたぁ。